
我家の近隣でも、家全体をイルミネーションで飾った「浮かれ電飾」※1をあちこちで見ることができ、「綺麗だな」と思う反面、25日の晩に「次は正月の準備か・・」とため息をつきながら寂しく片付けねばならぬ家主の切なさを慮る今日このごろである。
クリスマスとニューイヤーをホリデーシーズンとしてひとまとめに出来ない日本という国をさぞかし恨んでいることであろう。
さて、クリスマスと言えば欠かせないのはプレゼント交換である。
まぁ、交換と言っても、実際に交換しているのは恋人同士くらいなもので、良い子にさえしていれば欲しいプレゼントをサンタクロースが自動的に運んできてくれると信じて疑わない子供にとっては、「なんでお父さんお母さんにあげなきゃいけないの?」といった感じで、サンタクロースに扮した親から子供への一方通行であることが多い。
アンケート調査では、9割弱の子供がサンタクロースの存在を信じているらしい。
●88%の子供がサンタを信じてる! 信じさせるためにママがしていることは? http://goo.gl/qwvLLJ
子供がサンタを信じるために「母親がしていること」を聞いた。最も多かったのは「ふだんの会話からサンタの存在を言い聞かせる」こと(26名)。「いい子にしているとサンタさんがプレゼントをくれる」などをふだんから子供に言い聞かせていることが分かった。子供と一緒にプレゼントに驚かねばならないというのは、不器用な健さんタイプのお父さんにはハードルが高そうだが、「いい子にしているとサンタさんがプレゼントをくれる」などをふだんから子供に言い聞かせていると言うのは今も昔も変わらないらしい。
確かに、私が子供の頃には、「悪い子だとサンタさんが来てくれないよ」という悪い子化抑制のための黄金のセリフが通用していたのだが、著しく少子化となり大切に育てられている現代の子供たちのもとには、多少の悪事を働こうがサンタさんは暦通り12/24に来ているのが実情のようである。※当社調べ
私は決して悪い子ではなかったはずだが、サンタさんがやって来て枕元にプレゼントを置いていってくれたのは、記憶する限り2回だけだ。
来なかった年は、きっと悪い子だったのであろう。
そもそもサンタクロースの言う「良い子」の定義とは何なのであろうか。
毎年サンタに扮する友人に聞いてみると、「親の言うことをよく聞く、手のかからない子供の事」らしい。
「良い子にしていなかったから今年はサンタさん来なかったねぇ」と泣きむせぶ子供を諭すようなスパルタンな家庭があってもよさそうなものだが、私の周りではついぞ聞いたことがない。
まぁ、仏式クリスマス法要※2もあるくらいにイベント化した現代では致し方ないことであろう。
一方で、「本気で信じていないとサンタさんは来てくれない」という説もあるらしい。
●「本気で信じてないと……」キネマ旬報 http://goo.gl/Xaibze
しかし、世の中、サンタクロースの存在を素直に信じ、いい子になろうと見えないところで努力するような、そんな出来過ぎた子供たちだけではないことは皆様ご承知のとおりである。
中には、親の言うことも聞かず「いやいやいや、悪い事したってサンタさん見てないっしょ?」的な小生意気な子供も存在し、親の悩みのタネとなっている事例も数多く聞き及ぶに至っている。※当社調べ
そんな、小生意気で言うことを聞かない大人びた子供に対して鉄槌を下す「黒いサンタクロース」という存在がいることをみなさんはご存知であろうか。
アンサイクロペディアによると以下のような記載がある。
黒いサンタクロース http://goo.gl/jPW95O
黒いサンタクロース(くろいさんたくろーす、Black Santa Claus)とは、ドイツの聖なる夜、悪い子に対して 鉄と血による粛清を行う人物である。
当然のことだが、サンタクロースがプレゼントをあげるのは良い子であって、悪い子のところにプレゼントが届く事はありえない。まれに悪い子のところにプレゼントが届くこともあるが、これは彼らが真に悪い子ではなく、雨に濡れた子猫を拾い上げた後、空き地の土管の中でこっそりと飼ってあげるような、本当は良い子であるにも関わらずただ素直になれないことをサンタは分かっていることから起こる、いわば例外的なものに過ぎない。
だが、プレゼントが貰えないからといって反省するようなら、そもそも悪い子とはいえない。
今年もまたサンタが忘れただけと思うようならまだ可愛い方で、大抵の悪い子は、自分にプレゼントをくれなかったサンタを逆恨みし、良い子からプレゼントを横取りしたり、「本当はサンタなんかいないんだ。」などとデマを流して純粋な子供の夢を壊したりしている。
だが、天網恢々疎にして漏らさず。
そのような悪い子には、プレゼントの替わりにバチが当たるようになっているのだ。
そして、悪い子にバチを当てるなまはげのような存在こそ、黒いサンタクロースである。
「親の心、子知らず」的な小生意気な子供のいる家庭では、他人の誕生日に便乗して自分もプレゼントを貰うには、それなりの努力が必要な事を教えたほうが良いような気がするのである。
サンタクロースの存在と併せて、黒いサンタクロースの存在も話しておけば、必ずや「いい子」になる事請け合いだ。
まさか、サンタクロースの存在だけ信じる都合の「いい子」供ではないでしょうから。
追記:アンサイクロペディアのサンタクロースに関するページも興味深い http://goo.gl/iovkHk
※1 浮かれ電飾
個人宅がクリスマス気分の余勢をかって繰り広げるイルミネーションのことを、羨望とやっかみとがない交ぜになった感情でそう呼んでいる。
浮かれ電飾・3都物語
デイリーポータルZ http://goo.gl/0Divus
※2 仏式クリスマス法要
コメントの中に、本気にしている外国人がいるのが微笑ましい。
蝉丸P

