「満を持して」とは言うものの、いざ購入してみると案外に見ないものである。
もっぱら、付属するブルーレイが活躍する程度で、テレビなし生活がすっかり浸透した我家で、純粋なテレビ視聴ということはほとんどなくなってしまった。
先日、夕食前の晩酌時にふとテレビを付けてみると、偶然にもサザエさんの放映中であった。
知らない人は、ほぼいないと思うが、サザエさんとは、長谷川町子の同名の漫画『サザエさん』を原作とするテレビアニメで、関東エリアでは、日曜日の夕方18:30から30分間放映されている国民的な番組である。1969年（昭和44年）10月5日より放送している長寿番組なので、初老の私ですらも、子供の頃より毎週欠かさず見ていた番組だ。※1
最近ほとんどテレビは見なくなった私にとって、安心して見ていられる数少ない番組の一つである。
そんな安心して見ていられるはずのサザエさんであったが、しばし画面を眺めていると、あくまでも私的にであるが、安心して見ていられない事態が発生した。
それは、サザエさんのへそくりはミシンの中に隠してあるとか、磯野家では既にBSデジタルハイビジョンテレビが導入されているといったことではない。
カツオの履く半ズボンが紫色なのである。
ここで言う半ズボンとは、昨今のショートパンツではなく、1950年頃から1990年頃にかけて多用された小学生以下の男子用の短い丈のズボンのことである。※2
最近の子供服では紫色の子供向けショートパンツなど当たり前かもしれないが、私が子供の頃には考えられない事だ。
と言うか、そもそもそんな色の半ズボンは売ってなかった。
古き良き昭和の時代の象徴である、決して革新とは言えない磯野家において、紫色の半ズボンを子供に履かせると言うのはどうにも信じがたい。
保守的な磯野家では、何かしらの特別な理由がなければ、この色の半ズボンをカツオには履かせないのではなかろうか。
一体、磯野家に何が起こり、何がカツオに紫色の半ズボンを履かせるのか、私なりに推測してみることにした。
なお、本来なら、検証のための画像の一つも貼るところではあるが、版元により厳しく著作権が管理されている為、掲載できなことをご容赦いただきたい。
●波平またはマスオの会社での新事業取り組みの疑い
波平の勤務先は、山川商事、マスオの勤務先は、海山商事である。
業務内容までは明かされていないが、サザエさんという番組の特性上、海産物類に関連した会社ではなかろうかと推測する。これらいづれかの会社において、アメフラシ※3の吐き出す紫色の液体を染料化する新事業が密かに目論まれており、その染料を使い製作されたサンプルか、または着古した洋服を染め直してリユースしたものがカツオに行き渡った可能性が考えられる。波平も「それなら仕方あるまい」と言いそうな仮説である。
●母フネの着物の仕立直し説
過去の放映分を確認すると、驚いたことに同色の着物を母フネが着ていた事が判明した。
画面からは素材感までは掴めないが、膝が抜けたフネの着物の端切れで仕立て直された可能性も否めない。
だとした場合、シルク製の半ズボンを履いている事になり、それはそれでかなり違和感はあるのだが、「もったいない」を合言葉に急成長した昭和の時代の話である。
どうせ捨てるならと、厳格な波平も許さざるをえないで状況であろう事も推測できる。
●近所に西友かイオンが出来た
カツオが紫色の半ズボンを履いていることに違和感を抱いてから、もしかしたら、この変化は、磯野家以外にもあるのではないかと3週間ほどリサーチを行ったが、実は、中島や花沢さんにも同様の色の服を着ている事が判明した。なんというか、近所にある西友やらイオンで売ってそうなデザインや配色なのだ。
しかし、たとえ近隣に西友やらイオンなどの量販店が出店したとしても、この色の服を選んで購入するとは考えにくい。
だとすると、オープン時に販売されていた中身を確認できない福袋を購入した顛末とも考えられそうだ。うっかり者のサザエらしいエピソードである。
以上、カツオが紫色の半ズボンを履く理由を私なりにいくつか考えてみた。
是非とも、紫色出現率に注目しながら「サザエさん」を見て頂きたい。
「いやいやいや、単にカラーディレクターの方針ではないの？」という野暮なツッコミは、是非ともなしの方向でお願いしたいでバザールでござーる。
PANTONE® FASHION COLOR REPORT SPRING 2014
http://www.pantone.com/pages/fcr/Default.aspx?season=spring&year=2014&pid=3
http://www.nacs.org/Portals/NACS/Departments/Education/PANTONE_FCR_Spring_2014.pdf
※1 子供の頃より毎週欠かさず見ていた番組
自らの意志で視ていたというよりも、親が見ていたので仕方なくというニュアンスが近いかもしれない
※2 1950年頃から1990年頃にかけて多用された小学生以下の男子用の短い丈のズボンのこと
wikipediaよりhttp://ja.wikipedia.org/wiki/半ズボン
※3 アメフラシ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/kousairui/amefurasi.html
「磯野家の謎・おかわり」が1円で手に入るらしい↓
